恋人関係におけるRomantic loveとsexual desireの機能の違い ⇒関係アウトカム/オキシトシン
Gonzaga, G. C., Turner, R. A., Keltner, D., Campos, B., & Altemus, M. (2006). Romantic love and sexual desire in close relationships. Emotion, 6(2), 163–179.
https://doi.org/10.1037/1528-3542.6.2.163
要旨:
最近の関係・アタッチメント・感情の研究に関連して,romantic loveはコミットメント機能をもたらし,sexual desireは生殖機能をもたらすという仮説を立てた。
本研究は仮説を支持した。
研究1では,恋人と3分間相互作用をして得られたromantic loveとsexual desireの経験が,明確な感情状態・非言語的表現に加えて,それぞれコミットメント関係のアウトカム/生殖関係のアウトカムと関係していた。
研究2では,romantic loveの非言語的表現がオキシトシンの放出と関係していた。
romantic loveとsexual desireの感情としての位置づけを議論した。
メモ:
個人のromantic loveとsexual desireの違いが,恋人との関係性およびオキシトシンによって明確にされた。
後に投稿する論文では,女性は,恋人関係の上では性的に見られても,外見的自負の高まりを経て自尊感情を高めることが示唆された*1。
この場合の女性は幸福を感じる可能性が高い。
しかし,本論文によれば恋人関係であってもsexual desireはオキシトシンを放出させない。
2つの対立する研究結果から推測するに,女性自身が,自らの価値を性的に求められるものに置き,それによって自尊感情を高めているのではないだろうか。
日本(東アジア)ではその風潮が否めない。
日本では,地域差があるが,女性の価値を若さと美しさに置いている傾向が高い。
今日MeToo運動が盛んではあるが,女性自身がこのような「文化」に適応しているのかもしれない。
現代の社会を築いてきたのは主に男性だ(彼らには尊敬の念を抱いている)。
人間の分類方法は性別だけではないが,一方で,ほとんど多くの女性は男性に追従するように生き,その生き方は世代を超えて繰り返されてきた。
これは現代になってもかなり染みついている。
現代の女性はかなり出来上がった社会の中に食い込み,その社会の中でアクションを起こして発展に貢献していくことになる。
したがって,女性は,長い歴史の中で0から社会を築き上げた男性とは全く異なる性的役割の改革を行うことになる。
女性が生きていく上では,社会においても家庭においても軋轢を生んでいるが(例:家事・育児・仕事の殺人的な両立を当り前だと思うこと,アジア社会におけるキャリア形成と女性としての幸せの両立の難しさ),その一因には,このような「文化」を変容せんとする戦いや葛藤があるのではないだろうか。
…これSoPに使えるな。