愛情や友情はお金で買えるの?~経済性に基づいた自己価値が,社会的関係に与える影響~
Deborah E. Ward, Lora E. Park, Kristin Naragon-Gainey, Ashley V. Whillans, Han Young Jung (2020) "Can't buy me love (or friendship): Social consequences of financially contingent self-worth"
Personality and Social Psychology Bulletin
https://doi.org/10.1177/0146167220910872
キーワード:contingencies of self-worth, autonomy, loneliness, social connection, well-being
要旨:
金銭は他者との関係を向上させるかもしれないが,研究では異なるようだ。
金銭へのフォーカスは,関係の維持にかける時間を減らし,他者に頼りたいという願望を減らす。
しかし,なぜ金銭にフォーカスすると社会的には良くない方向へ向かうのか?
そこで,人が経済的成功にたよって自尊心を築くと―すなわち経済性に頼って自己価値を築くと―,親しい人に時間を割くという犠牲を払うことになり,関係への成功を求めてプレッシャーがかかりやすくなると考えた。
結果は仮説と整合した。
4横断的研究(N = 2,439)とdaily diary study(N = 246)によると,経済的成功に基づいた自己価値は,高い孤独感や社会的disconnectionと関連していた。
これは低い自律性の経験,および家族や友人との時間の減少と関連するかもしれない。
メモ:
自尊心の築き方が経済的成功に基づくと,自己価値が経済的成功と密接になる。
そうすると,人間関係の築き方に支障が出る。
the science of happinessで,social connectionはwell-being/happinessに大きく貢献するというエビデンスを多く得た。
「自尊感情の根本に経済的成功を求める ⇒social disconnection ⇒happinessから遠ざかる」…という構図が成り立つかもしれない。
自尊感情を経済的成功に基づく,以外にも自尊心を求めるケースは何があるのだろうか?だって,結構多くの人が社会的成功(学校の成績などを代表とした自分の能力に関連した成功)を追い求めて努力するし,それによって自信や自尊感情が高まるものじゃないのか?
Bowlbyの愛着理論とも関連しそう。insecure attachment styleの人は,自尊感情の背景に経済的成功を持つのかもしれない。